驚きの実話 超有名企業で不正を内部告発をした結果

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誰もが知る超有名なグローバル企業で部署内の不祥事を内部通報をした結果どうなったのか。実際に内部通報をしたことがある筆者の経験を記しました。

  1. 内部通報した理由ときっかけ
  2. 後から出てきた証拠 ファクトの数々
  3. 部門ヘッドに告発するまで
  4. 人事からの要請による事実ヒアリング
  5. 狡猾で狡賢い上司と、人の良い部門ヘッド
  6. 話した結果…1
  7. 話した結果…2
  8. 話した結果…3
  9. まとめ

1.内部通報した理由ときっかけ

 私が約20年在籍していた某外資系企業。誰もが知っているグローバル企業で、さわやかなイメージを売りにしています。私が所属していたチーム内で、私の直属の上司(Iさん)と同僚(Sさん)が不倫をしており、毎週金曜日になると出張と称して北海道や沖縄に二人で行っていました。直接的な被害の無い間は目をつぶっていましたが、部内の予算配分や仕事の割り振りにも影響が出てきており困っていました。そんな状態が半年ぐらい続き、部内はもちろんのこと、社内の他部門も知るところとなっていました。

 ちなみに、この企業の人事は全く機能しておらず、全ての人事にまつわることの最終決定権は、部門ヘッドに権限がありました。つまり、何らかの人事的な不祥事があったとしても人事が介入してそれを制するのではなく、コーディネートだけして最終決定権、責任は各部門のヘッドにゆだねる、という状況でした。つまり、兵庫県知事のパワハラ問題と同様、自浄作用が全く働かない組織だったのです。

 そんな中、地方の関連会社からそうした問題行動について、私たちメンバーに愚痴が入ることが増えてきました。なぜ関連会社からの通報かというと、その関連会社にも間接的に出張費などのコスト負担をしてもらっているというビジネスモデルだったためです。「テレビ会議(当時)で1時間以内で済む内容を、わざわざ高い出張費をかけて月に数回も来ている。自分達とのミーティングを口実にされ、多額のコストを費やすのは承服しかねる」といった内容です。そうした不満が、特に遠方の複数の関連会社から上がっていたのです。

2. 後から出てきた証拠 ファクトの数々

 ちなみに、これらの事件から2年後、IさんとSさんがこの企業を退職後に、SさんのPCから動かぬ証拠が出てきました。SさんのPCは彼女の後任者に受け継がれたのですが、基本的に全てのデータは消去されていましたが、Windowsのチャット機能だけはデータが残っていたのです。ある日後任者が、Iさん、Sさんの、仕事中に交わされた膨大ななまなましいやり取りを見つけました。例えば、「今日は●時頃に行くよ」「温かいスープつくって待ってる」などなど。

チームでお世話になっていたPRエージェンシーの担当から聞いたのは、不正も含めて更に衝撃でした。都内在住のIさんSさんが出席する都内のPRイベントの前日に、なんと都内の超高級ホテルに宿泊し、そのホテル費用をPRエージェンシーに支払わせていたのです。自分達の家から余裕でスタート時間に間に合うイベントに出席するために、です。

 非常に狡猾で悪知恵の働くIさんは、一旦、旅行会社に予約を入れ(正確に言うと、Sさんが予約を入れ)、旅行会社からPRエージェンシーに請求させるという手口を使っていたそうです。そうしたことが1回2回ではなく、常態化していたというのです。

 PRエージェンシーサイドもその不正請求には気づいていたものの、Iさんがチーム全体として毎年そのPRエージェンシーに支払う金額が1億円を超える巨額だったため、指摘せず敢えて黙ってイベントコストとして処理をしていたとのことです。

 その時代でももちろん、完全にコンプライアンス違反に相当する行為で、業務上横領のようなものです。

3.部門ヘッドに告発するまで

 チームは上司の不倫相手(Sさん)を入れて5名でした。Sさんを除くメンバー4名のうち、1名(Aさん)は「こんなありえない体制でやっていられない」と退職を決め、上司にもその旨を伝えていました。もう1名(Bさん)は、自身がものすごいパワハラ体質で、それが原因でアシスタントに就く派遣社員が6名連続で辞めさせていました。上司(Iさん)は、そのパワハラをもみ消す代わりに上司の犬になっていました。残るメンバーは、私とCさんです。

ある時、Aさん、Cさん、私の3人は、「さすがにビジネスパートナーから愚痴が来ている状態はまずい。何とかすべきでは?」と話し合いを重ね、我々の上司の上司にあたる部門ヘッド(Kさん)に窮状を話すことにしました。上司とその不倫相手の出張中を狙い、パワハラ社員に気づかれないよう、Kさんの秘書にスケジュールを調整してもらい、会社から離れたレストランの個室で全てを話しました。更に、上司がこの告発を知った後の報復をすごく恐れていることも。Kさんは、事実を知って驚愕すると同時に、「必ず対処するので安心してほしい」と言ってくれました。

4.人事からの要請による事実確認ヒアリング

 その後、ある日、私と私の同僚は「IさんとSさんに関する疑惑について、知っていることを全て話してほしい」とそれぞれ人事から呼ばれました。「知っていることを話したとして、私の立場は変わらないか。上司がそれを知ることは無いか。Iさんの報復を恐れている」と念のため確認したうえで、私は知っている事実を全て話しました。

 毎週末に二人で遠方に出張に行っていること、それにより上司の相手である部下の仕事が自分に割り振りされることがあること、彼女の担当業務の優先順位が低いにも関わらず部内の予算が多く割り振られていることなどについて、つぶさに話したのです。いわば、人事を信頼して全て話をしたわけです。

5. 狡猾で狡賢い上司と、人の良い部門ヘッド

私の上司(Iさん)は非常に狡猾で、悪知恵が働き、自分にメリットをもたらす幹部になりふり構わずゴマをすり懇意にするタイプでした。彼が政治的な理由で慕っているMさんは、Iさんの上司である部門ヘッド(Kさん)のポジションを狙っていました。自身の担当部門を増大させるためには手段を選ばない野心家だったのです。一方で、Kさんは根っからのおぼっちゃまで人も良く、狡いことは一切しない、日和見主義な人でした。

 社内のポジションとしては、当初MさんとKさんは同等で、二人とも社長へのダイレクトレポートでした。MさんがKさんのポジションももし包括できたら役職が一つ上がる状況にありました。

6. 話した結果…1

 それから1か月ほど後のこと。週に一度の部の定例ミーティングで、私と私の仲の良かった同僚が名指しで「〇〇さんと〇〇さんは、僕と〇〇さん(不倫相手)について、”事実無根のあることないこと”を人事に言ったため、我々は大変迷惑している。チームの結束力にも影響を及ぼすので、二人の今年の評価については考えさせてもらう」と上司から告げられました。

 私と、もう一人名指しされた同僚Cさんは震えあがりました。と同時に、私は内部告発したことを即座に後悔しました。人事から聞かれたから話をしたのに、守ってくれると約束してくれたのに、この結果はどういうことか。。。しかもこれからも日々顔を合わせて仕事をしていかなくてはならないのです。おまけに非常に陰湿な性格の上司だったので、その日からの陰湿な嫌がらせは想像に難くありませんでした。

 ちなみに、同じ上司の部下はその彼の不倫相手も含めて5名でした。不倫相手をのぞく4名のチームメンバーのうち、1名は「こんなところにはいられない」と退職を決めており、もう1名は、上司が人事から何をどのように言われたのかは不明ですが、直属の部下ではないと知り得ない事実を指摘され、上司は消去法で私ともう一人の同僚が人事に事実を話したと睨んだのでしょう。Kさんはどうしているのでしょう?私たちを守ってくれなかったのですね、、、と思っていたら、Kさんも無害ではありませんでした。

7. 話した結果…2

 この1か月の間に何があったのでしょう。。。?後から聞いた話によると、KさんはIを辞めさせる決断をせず、会社に残した。その結果、Iは、Kさんのポジションを狙っているMさんに泣きつき味方につけたのです。Kさんのポジションを狙っているMさんはこれを好機ととらえ、「Kさんは事実無根の内容で部下であるIを陥れようとしている」と、人事や社内に働きかけていったのです。

その結果、Kさんは窮地に追い込まれ、最終的に退職しました。ちなみに、後に、MさんはKさんのポジションを獲得したのは言うまでもありません。もちろん上司のIさんは、それによって生き残りました。

8. 話した結果…3

 その年の私の評価は1ランク下げられ、年俸も10%減らされました。年末の評価の際にはKさんは既に退職されており、Iさんの一存で評価が決まったのです。前述のように、人事は全く機能しておらず、かつ、Kさんが退職しMさんが部門ヘッドに就任したばかりでした。そのため、実質Iさんの独断と偏見が私の人事評価に反映されたのです。私と同様に人事にヒアリングを受けたCさんも評価を下げられたと聞いています。

9. まとめ

 以上が、超有名企業で私が不正を内部告発をした結果の顛末です。内部告発した結果、評価を下げられ年俸を減らされたのです。やはり、企業は力のある人(ポジションが上の人)が、最終的に全てを掌握するのだ、と絶望しました。人事が全く機能していない企業だったためこのような結果になったのかも知れませんが、兵庫県知事の報道を見ていても、実はどこでも一緒なのか、、、と思わざるを得ません。

 勇気をもって告発した人が結果として損をするこのような状況は許されるものではありません。

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